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論文でました!!上顎癌の完全切除の可能性が高まることを示唆

上顎全摘手術に対して内視鏡を併用することで、鼻腔後方の翼状突起の切除がより正確にできることを証明

この度

東京慈恵会医科大学耳鼻咽喉科学教室 長岡 真人助教、大村 和弘講師、小島 博己教授は東北公済病院 耳鼻咽喉科 野村 和弘らと共同で、上顎癌患者に対して上顎全摘出手術を内視鏡を併用し鼻内及び翼状突起の切除を行った群が外切開単独の群より翼状突起の切除がより基部の位置で可能になることを世界で初めて報告いたしました。

  一般的には、外切開単独での手術が行われている上顎全摘術ですが、鼻腔の後方の視野は悪く、翼状突起や上咽頭周辺の腫瘍と正常粘膜を厳密に切開することは困難とされています。今回当院耳鼻咽喉科の大村 和弘講師が開発した上顎全摘術に内視鏡を併用し、鼻腔内および翼状突起を切除する方法と従来の外切開単独群を後ろ向きで調査で、翼状突起の残存の大きさ、出血量、手術時間を比較いたしました。その結果、内視鏡併用群がより翼状突起基部近くで切除することが可能となることを世界で初めて報告いたしました。これは、上顎癌の特に鼻腔後方部分の切除の正確性を向上させる可能性や、外切開単独では切除困難と言われている鼻腔腫瘍に対する外科的切除が可能となる可能性も示唆されます。

今回の研究成果をもとに、上顎癌に加えて鼻副鼻腔腫瘍に対する内視鏡併用手術を引き続き行い、外切開では難しいとされる鼻腔後方部分の拡大切除が内視鏡併用でより確実に出来ることを証明するための新たなプロジェクトを立ち上げる予定です。

Review Head Neck. 2023 Feb;45(2):521-528. 
doi: 10.1002/hed.27237. Epub 2022 Nov 6.