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活きたお金ってこういうことか

先日、ある大学病院から講演の依頼を受けた。その話しを持ってきてくださった先生は慈恵医大にも見学にきてくださったこともあるし、ご自身は耳の専門でやっていらっしゃるが、そりゃ魅力的な人である。その依頼の目的は鼻の手術の基礎と応用を年2回のシリーズとして一回30−45分で講演をしてほしいということだった。講演料もしっかりといただくことができる内容だった。もちろんありがたくお受けしたけれど、鼻の手術の基礎から応用まで年に2回トータル90分で伝えることができるだろうか?その答えはもちろんNOである。

その先生も、医局員の先生方も鼻の手術をできるようになりたいという熱意があるとのこと。それならば、しっかりと鼻の手術を勉強してもらえるように、こちらも努力しようと思ういつもの性が出てきてしまう。色々と考えて、2回ではとてもとても伝えられないので、基礎編として複数回やらせて欲しい。その際の講演料は一回だけで大丈夫で、その代わり好きなだけやらせて欲しいとこちら側の気持ちを伝えた。

すると、その大学の教授は「何回やってもらっても構わないが、活きたお金なので、しっかりと払わせて欲しい」と言ってくださった。なんて格好良いんだろう。医局員のために有限のお金を惜しげもなく使えるなんて、医局員の先生方も幸せだなと思ったし、自分も活きたお金の使い方を磨きたいと思わされた。

ちなみに、第二回の演題はESSの基本のキとして、ESSのコアとなる内容を初めてお伝えすることとした。今まで、頭蓋底をやると覚悟を決めている医者たちにしかほとんど伝えていない、本当にコアな内容である。これを知れば、ESSが驚くほど簡単になる内容である。もしかしたら、活きたお金だから・・・というそこまでの気持ちを頂いていなかったら、この大忙しの中で寝る時間削って新しい講演を作ろうなどとは思わなかったかも知れない。なるほど、活きたお金を使えるとこういう事になるのか。と勉強になった。 

東京慈恵会医科大学 耳鼻咽喉科 大村和弘

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