ブラジルでの3日間の手術研修会が終わり、サンパウロに戻ってきました。
当初は慈恵医大に留学されていたAlexander Fillip先生の病院で彼らの手術を見学させてもらう予定だったのですが、土曜日で手術の予定が入らなかったということで、1日ホテルで仕事でもしていようかと思っていたのですが、ファカルティーとして手術研修会に参加されていたサンパウロの癌センターで働いているRonald Toledo先生が急遽病院案内をしてくださることになり、朝から病院見学と手術見学をさせていただきました。僕の観光は、遺跡を巡ることでも、景色を見ることでもなく、手術や病院を見ることだったのでとても嬉しい1日になりました。
このToledo先生とは以前海外の学会でお会いした縁で、日本にいらっしゃる時に慈恵医大の案内をさせていただきました。そしてその縁で、今回のブラジルの学会にお呼びいただいております。
とても興味深いエピソードを教えていただきました。
彼はブラジルで一番古い癌センターで働かれているのですが、彼が若いころは内視鏡で手術なんて前例がない状況だったようです。内視鏡を導入したかった彼は、Departmentのトップにどうにかして内視鏡の良さをわかってもらう目的で、鼻や頭蓋底の手術が終わった後に、内視鏡で鼻の中を確認させてもらうことを提案したようです。そしてさらにそこから、腫瘍を切除した断端の生検を内視鏡で行い、断端陽性だった場合は、内視鏡で残存した腫瘍を追加切除するということを地道に続けてデータをまとめたことで、今があるとのことです。
自分が若い時に、頭蓋底手術に内視鏡を使いたいと思っていたのですが、その病院の脳外科の部長は断固反対というような状況で、内視鏡を使いはじめるチャンスをうかがっていたことを思い出しました。
そうやって第一番の立場をとって自分のポジションを確立できたということが大きいのだと改めて思い出させられました。本当に感謝です。Toledo先生はわざわざ夜8時に奥様と一緒に飛行場まで車で送ってもくださいました。ありがとうToledo先生・奥様。
大村和弘
