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当院における治療体制


鼻腔腫瘍に対する内視鏡での手術適応

近年内視鏡での腫瘍切除の範囲は拡大傾向にあります。
しかし、鼻腔腫瘍の完全切除を目指す際の内視鏡での手術適応は下記のようにしております。
疾患によっても多少違いがあり、最終的には患者背景や病状など総合的に判断いたします。

経鼻内視鏡アプローチの適応

当院での診察の流れ

当院での診察の流れ

術前のCT/MRI時にPET検査を行い、主治医である大村の判断に加え、当院の頭頸部専門の放射線診断医が腫瘍の進展範囲や性状をしっかりと診断します。

そのうえで、手術適応を頭頸部腫瘍班(主に外切開を用いて頭頸部癌を治療しているチーム)及び場合により脳神経外科・形成外科・眼科・小児科など必要だと考えられる科とカンファレンスを行います。

手術中は、病理医に腫瘍がしっかりと切除できたかどうか相談をする術中迅速診断、脳神経外科に頭蓋内の処置と頭蓋底再建を協力いただいております。麻酔科とICUの医師に術後の吐気によって髄液漏や出血のリスクを少しでも減らすため特別の対応をしています。

術後は、病理医と切除した腫瘍の切り出しを行い、診断に加えてしっかりと切除が出来たかどうかの最終判断をしております。放射線の治療が必要な場合は、放射線治療部の医師と術者である大村が放射線の照射野を計画立案しています。

内視鏡手術のメリット

硬性鏡を利用した手術となるため、頭や顔面を切る外切開が必要最小限にできます。なおたとえ大きく顔面を切開してもアプローチの難しい上咽頭や翼口蓋窩、蝶形骨洞などの鼻の奥にある腫瘍に関しても、しっかりと内視鏡で切除ラインを確認出来ることも大きな魅力になります。

切除も大切ではありますが、特に良性腫瘍の場合は腫瘍切除後の鼻腔の上皮を極力温存し鼻腔を再建することも大切になります。鼻腔腫瘍は摘出できたけれど、それによる各種甲介や鼻中隔粘膜の切除により、術後の鼻中隔穿孔による鼻笛や繰り返す鼻出血、甲介や鼻中隔の消失による嗅覚脱失、術後の副鼻腔炎など様々なトラブルが待ち受けています。それらを極力減らすため大村が開発し世界へ発表している術式を使用しております。

加えて、我々の研究で、普段臨床で主に用いている血流の豊富な有茎粘膜弁が血流の無い有茎粘膜弁を用いる事に比べて生理的な鼻腔の再建が可能であることを世界で初めて証明しました。

内視鏡で出来ることが増えているのは事実ですが、当院では切除を治療とした場合は、腫瘍を完全切除することが第一目標ですので、外切開でのアプローチが必要な場合は、内視鏡に固執することなく外切開を併用で行います。その際は頭頸部腫瘍班・脳神経外科・形成外科と合同で行うこともあります。切除以外の化学療法や放射線治療の適応の場合は、必要に応じて他の専門病院を紹介させていただくことがあります。

初診から治療までの流れ

悪性腫瘍の患者さんの場合は、治療決定までの時間を極力早めるため、なるべく最初の大村の外来で手術適応に関してご説明を出来る様に検査や情報等を整えたいと思っております。

そのため、紹介状・画像検査結果・病理プレパラートの診断結果及びプレパラート可能であればかかりつけ医からの情報提供書もお持ちいただけるとスムーズです。画像検査は造影CT(鼻腔3方向・頸部・肺)・造影MRI(鼻腔3方向)をお願いしております。

良性腫瘍の患者さんに関しても上記に準ずる形で外来診察をさせていただきます。

初診から治療までの流れ

手術の予約の日程

手術の予約の日程

準緊急枠での手術の場合は、手術日がかなり流動的になります。
手術日の決定に関しては、基本的にこちらに合わせていただくことになります。
手術日から2週間前から1週間前にメール又は電話で連絡します。

慈恵医大で治療をするメリット

もともと内視鏡を使用した慢性副鼻腔炎に対する手術での実績が日本で長らく一番症例数がある。

日本の主な医療機関の鼻の手術実績(2016)

そこで培った内視鏡の技術を活かして鼻腔腫瘍に対する手術を行なっています。
この業績表は、大村が術者として2018年4月から担当した症例の詳細を記入したものです。

症例の詳細(大村が術者として2018年4月から担当)

慈恵医大の症例数のまとめと国立がん研究センター中央病院のインターネットに記載されている手術症例数を参考までに提示します。

慈恵医大での大村の手術症例数

https://www.ncc.go.jp/jp/ncch/clinic/head_neck_surgery/020/index.html より一部抜粋

周術期合併症に関して

周術期合併症に関して

内視鏡下頭蓋底手術の詳細

内視鏡下頭蓋底手術の詳細-1
内視鏡下頭蓋底手術の詳細-2
内視鏡下頭蓋底手術の詳細-3
内視鏡下頭蓋底手術の詳細-4
内視鏡下頭蓋底手術の詳細-5

術後は翌日から食事が開始、及び移動の制限もありません。術後約1週間で主治医より鼻の処置があり、その結果異常がなければ退院としております。