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東邦大学大森病院で手術をさせていただきました。

東邦大学大森病院で手術をさせていただきました。

今回は、片側の鼻腔に充満する鼻腔扁平上皮癌の症例に対して、手術協力をさせていただきました。東邦大学大森病院は慈恵医大のOBである和田弘太教授が率いる耳鼻咽喉科です。以前より鼻腔腫瘍の患者さんや下垂体などの脳神経外科との合同手術がある場合に、手術強力でお伺いさせていただいておりましたが、今回は初めて鼻腔がんの患者さんの執刀でした。

鼻腔がんの手術は、執刀に至るまでの術前のプランニング、術中に病理診断部の先生方にお願いする術中迅速細胞診や術後の放射線治療部にお願いする放射線治療など、様々な科との連携が必要となるので、基本は慈恵医大にご紹介をいただいて手術を行なっておりますが、今回はそれらのバックアップがしっかりとできる東邦大学だったため、伺うことに決めました。

左側にある鼻腔がんが鼻中隔を破壊して右側への浸潤を認めておりましたが、翼口蓋窩や上咽頭への浸潤はなく、腫瘍基部は鼻中隔に現局していたので、しっかりと一塊で摘出できました。出血量は50ml程度でした。

鼻腔腫瘍の手術は、腫瘍の基部が術前にわからないことが多いため、基部の場所によってさまざまな手術方法を用いなければならないという、術者の技量および術中の判断を試される手術になります。

さらに、内視鏡で切除できたと判断しても、病理の先生による術中組織診断(切除断端の評価)で顕微鏡的にも腫瘍がしっかりと切除できたと判断できないと、完全切除とはなりません。そのため、術中の判断、迅速組織診断も合わせて腫瘍が一塊に摘出できた時の安心感は腫瘍切除を行う術者のみが味わうことのできる感覚です。

もちろん、腫瘍が取りきれなかったとしても放射線治療や抗がん剤の治療を組み合わせて根治を目指すことはできますし、腫瘍を摘出できたから治るものでもないのですが・・・。

外科医としては、手術で治療を完結するために技術を磨いているので、引き続き本日のようにしっかりと完全切除できる患者さんを増やしたいと思います。

東邦大学大森病院にて1
東邦大学大森病院にて2